Misc - KASHIWAGI Tomonori

アルコール性肝障害におけるXBP1の役割

柏木 智則, 岡崎 俊一郎, 舘田 健児, 横山 佳浩, 片田 竜一, 水尾 圭祐, 渡邊 智, 松本 博志

アルコールと医学生物学 ( 梵天書房 )  30   14 - 17  2011.04

　View Summary

アルコール性肝障害におけるXBP1の役割について検討した。アルコール性肝障害ラットモデルを作成し、その肝臓内でXBP1が亢進しているか検討した。アルコール食を4週間摂取したラットは、脂肪変性、バルーニング、繊維化等を認め、アルコール性肝障害が形成された。ALT、ASTはアルコール群で有意に上昇した。脂質代謝では、血中の総コレステロールとHDLの有意な上昇を認めた。ERストレスマーカーであるGRP78とATF4のmRNAの発現は、アルコール群ではどちらも上昇し、ERストレスの亢進を認めた。転写制御因子活性は、NF-κBが有意に上昇していたが、AP-1およびIRF3には有意差を認めなかった。XBP1の発現は、アルコール群で有意に上昇した。アルコール性肝障害ではERストレスが亢進している状況下において、XBP1が活性化してNF-κB活性が上昇し、炎症系の反応が亢進している可能性が示唆された。

脂肪酸はラット肝細胞においてアルコール負荷時のERストレスを増強するか

横山 佳浩, 柏木 智則, 岡崎 俊一郎, 舘田 健児, 片田 竜一, 水尾 圭祐, 渡邊 智, 松本 博志

アルコールと医学生物学 ( 梵天書房 )  30   11 - 13  2011.04

　View Summary

ラット肝細胞を用いて、エタノール負荷時に飽和あるいは不飽和脂肪酸を付加し、小胞体(ER)ストレスの程度を評価し、そのERストレスと生体防御系と脂質代謝系の転写制御因子活性との関係を明らかにした。EtOHおよびステアリン酸、リノレイン酸のいずれの負荷もNF-κBとAP-1の活性を上昇させたのに対し、EtOHと脂肪酸を同時負荷した場合、脂肪酸がステアリン酸およびリノレイン酸のいずれにおいてもこれらの活性を減弱させた。転写制御因子PPARは、EtOH、ステアリン酸、リノレイン酸(LA)のいずれにおいても活性化上昇する傾向を示し、特に不飽和脂肪酸であるLAで有意に上昇した。EtOHに不飽和脂肪酸を付加した場合、NF-κBが減弱して生体防御機能が低下するとともにERストレスが亢進することが明らかになった。