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セカンドメッセンジャー不均衡仮説に基づく気分障害患者死後脳及び末梢マーカーに関する研究

山口 高史, 小澤 寛樹, 鵜飼 渉, 常松 理枝子, 橋本 恵理, 石川 博基, 七戸 真, 斎藤 利和, 高畑 直彦

精神薬療基金研究年報 ( (公財)先進医薬研究振興財団 )  ( 31 ) 179 - 185  1999.03

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うつ病患者死後脳の前頭葉部において,アデニル酸シクラーゼ(AC)活性の基礎活性値は低下していたが,I型ACの蛋白質量増加に起因すると推察されるCa2+調節性のcAMP産生機能の亢進が認められた.5-HT刺激性の血小板Ca2+濃度の基礎値からの増加量はうつ病群で有意に増加していた.cAMP産生を賦活化するforskolin誘導体NKH477の前処置は5-HT刺激性のCa2+動員を抑制したが,その抑制率はうつ病群において有意に低下していた.以上,うつ病患者の中枢・末梢両組織においてセカンドメッセンジャー間のクロストークの機能不全が認められ,この機能不全が感情障害の病態基盤に関与していることが示唆された

脳機能改善薬アニラセタム慢性投与後の線条体cAMP産生能とアデニル酸シクラーゼ発現変化

鵜飼 渉, 小澤 寛樹, 山口 高史, 池田 官司, 橋本 恵理, 七戸 真, 石川 博基, 齋藤 利和

脳の科学 ( (株)星和書店 )  21 ( 3 ) 297 - 301  1999.03

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アニラセタム慢性投与の影響を明らかにするために,アデニル酸シクラーゼについて,ラット線条体膜標本を用い検討した.アニラセタムの慢性投与により,アデニル酸シクラーゼの基礎活性は対照群に比べ用量依存的に増加していた.Gpp(NH)p,forskolin及びMn2+による各刺激活性についてもそれぞれ用量依存的な増加が認められた.アニラセタムの慢性投与(30mg/kg)群では基礎活性が対照群より約20%増加したが,Gpp(NH)p,forskolin及びMn2+刺激時の各活性についても同等の増加率であった.線条体で最も特異的に発現しているアデニル酸シクラーゼサブタイプ(V型)特異的抗体を用いた検討で,アニラセタム慢性投与群ではその免疫反応性の有意な増加が認められ,アデニル酸シクラーゼV型免疫反応性はforskolin及びMn2+刺激活性と有意な相関を示した

脳シグナル伝達系機能を反映する感情障害の生物学的指標の開発とそれを用いた治療法の選択・体系化に関する研究

小澤 寛樹, 山口 高史, 常松 理枝子, 鵜飼 渉, 佐々木 恵, 橋本 恵理, 斎藤 利和

厚生省精神・神経疾患研究委託費研究報告書 感情障害の成因解明,治療法の標準化及び治療反応性の予測因子に関する研究 ( 厚生省精神・神経疾患研究班 )  平成10年度   45 - 48  1999.03

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Ca2+調節性のcAMP産生機能(死後脳研究)及びcAMP調節性の細胞内Ca2+動員系機構(血小板研究)の変化を単極性鬱病患者と対照群間で比較検討した.鬱病患者死後脳の前頭葉部において,アデニル酸シクラーゼ(AC)活性の基礎活性値は低下していたが,I型ACの蛋白質量増加に帰因すると推察されるCa2+調節性のcAMP産生機能の亢進が認められた.5-HT刺激性の血小板Ca2+濃度の基礎値からの増加量は鬱病群で有意に増加していた.cAMP産生を賦活化するforskolin誘導体NKH477の前処置は5-Ht刺激性のCa2+動員を抑制したが,その抑制率は鬱病群において有意に低下していた.以上,鬱病患者の中枢・末梢両組織において両セカンドメッセンジャー系の不均衡が感情障害の病態基盤に関与していること,また血小板におけるcAMP調節性の細胞内Ca2+動員系機構の変化が新たな生物学的指標として意義をもつと推察された

感情障害の成因解明,治療法の標準化及び治療反応性の予測因子に関する研究 脳シグナル伝達系機能を反映する感情障害の生物学的指標の開発とそれを用いた治療法の選択・体系化に関する研究

小澤 寛樹, 山口 高史, 橋本 恵理, 山本 恵, 七戸 真, 石川 博基, 鵜飼 渉, 齋藤 利和, 高畑 直彦

厚生省精神・神経疾患研究委託費による研究報告集 ( 国立精神・神経センター )  平成9年度   471 - 471  1998.08

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抑うつ病態基盤に1)Ca2+/CaM非感受性ACによるcAMP産生系の低下, 2)5-HT応答性IPs産生系の亢進及び3)Ca2+/CaM感受性ACによるcAMP産生系の亢進という複数のセカンドメッセンジャー系の不均衡が関与していることが推察された